こんにちは。めちゃめちゃ最高な空間ですね!
ありがとうございます!
まずは、美容師になるきっかけみたいなとこから教えてくださいますか?
はい! 小学5年生の時に嵐山に引っ越してきたんですけど、そのときのマンションの1階がテナントやって。引っ越してきたタイミングでそこに美容室が入らはって。オープンの時からずーっとそこに髪切りに行ってたんです。で、髪も切らへんのに毎日遊びに行ってるうちになんか、美容師になりたいとかじゃなくて、そこの人たちがなんかめっちゃ好きやったんですよ。
あー、人に惹かれて。
そうそう。美容師って華やかなとこしか見えへんから、「スーツも着んと私服で遊んでそう」みたいな。その輪に入りたいっていうのが。
憧れる職業ですもんね。
でも美容師の仕事自体に憧れたわけじゃないんですよね。元々は。大人になってからもそのときの美容師さんとは仲良くさせてもらってるんですけど、僕が中学生の頃に、「美容師って儲かんのけ?」みたいなこと急に聞いたらしくて、「仕事終わりに来い」って呼び出されて。そしたら中学生相手に、こうはこうで、ここはこうやから「美容師は儲かるんやぞ」って話をしてくれたらしいんですけど、全く覚えてないです(笑)。いまだに、よう飲みに誘ってくれて連れてってくれはります。
今でも付き合いが! おいくつの方なんですか?
10個上ぐらいちゃうかな、50前後かな? ほんとはそこで働きたかったんですけど、「美容師なったでー」って報告した時に、お前なんか絶対に雇わへんって言われて(笑)。夢は打ち砕かれました。
ええー!
「お前絶対俺の事なめるやろ」とか言われて。まあ小学生からの付き合いやから、子どもの時とか呼び捨てにしてましたし。おかげで師弟関係みたいなのには一度もならへんかったから対等に話してくれはって。未だに気にかけてくれてるみたいで、なんかホームページ見てなんの薬剤使ってんの?とか言って。めっちゃ見てるやんけと。
じゃあそれからは別のとこに就職して。
独立するまで勤めてた店は夫婦でやってはったんですけど、老夫婦の店やったんで18時に閉まるんですよ。美容室やのに。
早いなあ。
残って練習しろとかも言われへんかったから、結構好きなようにやらしてもらえてたんですよね。だから友達呼んで遊びに来たついでに髪切ってみたいなんをやりはじめて。プライベートサロンみたいなのをしてたんです。で、たまたま専門学校一緒やった奴から連絡来て。一緒やろうやとか言われて。僕もまあきっかけ無かったんで、独立は別にオーナーが「もう閉めるぞ」って言わはってからでもいいかなって。別にいつからでも出来たから。「ほなやる?」みたいななって始めたんが7,8年くらい前です。
その時の老夫婦のオーナーはどうしてはるんでしょう?
まだやってはりますよ! もう83か4ぐらいですけど、まだ自分で切ってはるんで。「水野くんがやめたせいで僕、80過ぎてシャンプーせなあかんねん」って。全然バリバリやってはるんで、「お客さんが全員死ぬのが先か、自分が死ぬのが先か」って。
すげっ。
それで2店舗やって、自分がサボるつもりでこの店作ったんです。んで、このへんで店出そうって思ったら、同志社寄りになる。
同志社女子ありますもんね。
そうそう。普通はそっち側に作る。だからこっちの京大側には新しい店が出来てこないんですよ。古い店がポツポツあるんですけど、新規じゃないとホットペッパーに載せたりしないし、老舗って載せんでもやっていけてるから。それでこっちに美容室があんまり無いんですよ。
なるほど、なるほど。
「ほなそっち行ったら1人勝ちやなぁ~」みたいな話を、お客さんの京大の子にしてたら、「いや~、でも、京大生で髪型気にしてるヤツ少ないし、僕の友達とか自分で切ってるヤツめっちゃいますよ!」みたいなこと言うんです。「そしたらそんな子でも来たくなるサロン作ったるわい!」みたいな感じでこうなった。
かっけー。
「髪切りに来い!」とは言ってないんで。「漫画読みに来い!」みたいな感じ。だから、うちのお客さんって「いままで1000円カット行ってたんですけど、ここやったら自分も来て良いんかな~と思って来ました!」みたいな。うち来るまで1000円カット行ってた子が、もう10日にいっぺんぐらい髪切り来るようなって。
それはちょっと来過ぎのような(笑)。けどこれ、水野さんが小学生の時に経験した、あの感覚!
そう、そう! エヴァ好き過ぎてエヴァの話がしたいから10日にいっぺん来てるみたいな。やってから気付いた事なんですけど、やっぱ「技術が凄いです!ここのカットがこうね!」というより、美容師自体のパーソナルな部分、こういうヤツがいますよ、っていう訴え方のほうがお客さんとしては来やすいんやろうなぁ~って。
ミズノさんの雰囲気に浸りに来るっていう感じですもんね
人間やから合う合わへんあるし、「今日のお客さん感じ悪かったなぁ~」とか正直、あるじゃないですか。「ま~でも商売やし我慢するけど、今日、しんどかったなぁ~」とか。でも、ここはじめてからマジで嫌な思いしてない。こういうヤツが居るって分かってるから、気合うヤツしか来ぉへん。
いや~、だから僕あのね、最初迷ったんですよ。遠目から見たら喫茶店の漫画ブースかなんかかなって。「ここ指してんやけどな~?地図アプリ」とか思って。で、よ~く見たらはさみ使ってた。
水野さんってサッカーやってたって伺ってたんで、ちょっと体育会系の方なのかと思ってたんですけど、ま~言い方アレですけどでも、めっちゃ漫画を読まはるんですね。
昔はYouTubeとか無かったじゃないですか。別に漫画好きとかじゃなくても、毎週ジャンプ読まなアカンくなかったですか?
僕もたぶん家に昔のジャンプありますよ。
好きとかそういう話じゃなくて、教科書のように毎週誰かが持って来たジャンプを読んでた。
あったあった!
テレビも子供の見るもんてアニメがほとんどやから、一般知識なんですよ。僕からしたら漫画って。ただ普通に読んでるレベルで会話したら今の子からしたら、めっちゃ詳しいって言ってくれるんですよ。ま、こうなったから更に読むようになってるけど。
必要に駆られ始めた。
いまはWEB漫画とか手出したら無限にあるから。昔なんてジャンプだけ読んどいたらええし、マガジン、サンデー抑えといたら博士。
スタイリスト写真とかも普通って「こんな人ですよ」って顔出すじゃないですか、最初のころは、伊之助のマスク被って写真載してたんですよ。
よりによって。
覆面でハサミ2丁持って写真撮ってもらって。「そんなヤツおる店怖過ぎるやろ!」っていわれましたけど。
そりゃそうや。
でも、それ見て来るヤツって絶対気合うやないですか。
もう、言い方悪いですけど変なヤツなんですね。
スタイリスト写真見て、うゎ~凄いな~と思って、友達に「ココの美容室、行くねん」って言うたら「お前そんなヤバいヤツが居るとこ、やめとけ!」って言われたのに来た。とか言うんですよ。でも、それ見てでも来てくれるヤツは、もう僕のベストファンやし。
理想的な関係性ですね。日本ってどうしてもお客様は神様です的なとこあるし。
そもそも上下関係がある事自体がなんちゅうか、向こうは「金払ってねん」やけど、こっちは「切ったってんねん」てね。
だからコンセプト・サロンが思ったよりハマって、自分が楽しいだけでやり始めたはずが意外と、手抜くつもりがこっちの方がお客さん来たりするようになってるから、僕の方が最近、忙しいなぁ~って思うんですけど。
なるほど、なるほど。
そういう特化したサロンを作れたら楽しいなぁ~って。それこそ釣り好きなスタッフがおったら上からルアー吊って、魚拓貼ってる店にしたら絶対、釣り好きが来るじゃないですか。
ルアーの針に引っ掛かるぐらい。
そう! ま、それはメンズの発想で、女の子はそれこそ美容が趣味やったりするから、普通で良かったりするんで。メンズサロンでいくんやったら色んな趣味に特化したのをやれば面白いかなぁ~って思うんですけど、ちょっと女の子に関しては何したら来るんやろうなぁ~。ジャニオタばっかりくるようなサロン作ったらくるんかな?
まあ、でもそういうことですよね。これからの時代の形ですよね。みんなに好かれる必要はなくて。そこまでターゲット絞ってやるって。
そろそろ店名の由来聞いときましょか。
「PLUS ULTRA」ってヒロアカからとったんです。ヒーローアカデミアの校訓が「PLUS ULTRA」なんですよ。読んでる人からしたら絶対にヒロアカ連想する言葉なんすよ。ただの英語やから、知らん人からしたら「なんとかウルトラって美容室か~」くらいですけど、ヒロアカ読んでる人からしたら絶対にわかるサロン名なんですよ。
なるほど。
桂からチャリこいで一時間かけてきた子がおって「僕めっちゃヒロアカ好きで」って言うて。ただ、そんなアツい想いでつけた店名じゃないねんごめんって思いながら。
そうなんですか。
ちょうどいい名前やなって思ったんです。もちろん読んではいたけど、一番好きな漫画から取りましたみたいなんじゃなくて。めちゃめちゃなオタクしか来ないサロンにもしたくなかったから、「漫画好きにはわかる」ぐらいのちょうどいい単語ないかなって。それで。ただヒロアカ好きにはそりゃ刺さるわなと。
たしかにヒロアカはちょうどいい塩梅かもですね。
でもヒロアカ置いてないんですよ。
ないんかい! そのオチ面白いですね。
店舗名 | PLUS ULTRA |
住所 | 京都府京都市左京区田中関田町37 |
営業時間 | 10:00~20:00 |
定休日 | 不定休 |
URL | https://beauty.hotpepper.jp/slnH000469402/ |